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3泊2日、時間にしておよそ60時間。 ルイジアナ州のニューオーリンズからカリフォルニア州のロサンゼルスまで、俺は狭いアムトラックの2段ベッドの上段でひたすら耐えていた。
上段には窓が無く、ベッドから天井までも70cmほどしかないので圧迫感がすごい。
これがコンディションが絶不調の時と重なっていて、それはもう辛くて辛くてどうしようも無かったが、どうする事もできないのでじっと耐えるしかなかった。
未だ体調は最悪だ。
というより、今が一番最悪ではないだろうか。
俺はアムトラックで耐えた2泊3日の件を持ち出して親父に頼み込んだ。
「アムトラックでは俺が上段で3日間もしんどい思いをしたんだ。 だから今夜は俺がベッドに寝かせてくれ。 これは絶対だ!」
こうして約束を取り付け、夕暮れのロスの街へと繰り出す事にした。
本当はそれすらも辛くて部屋から出たくなかったのだが。
夕食はリトルトーキョーという日本人街の予定。 だったのだが、それはあくまでKAWADA HOTELに泊まっていた場合であり、現在のMAYFAIR HOTELからは地下鉄で2駅も離れてしまっているので、わざわざそこまで夕食を食いに行くのもかなり億劫だ。
しかし親父はどうしても俺をリトルトーキョーへ連れて行きたいらしく、悲鳴を上げている身体に鞭を打ち、渋々重い腰を上げた。
まずは親父が調べておいた美味いステーキ屋を見に行く事にする。
ニューヨークのタイムズスクエアにあるステーキ屋は見つからなくて行けなかったので、今回はどうしても行きたいらしい。
ホテルから歩く事約15分、目的のステーキ屋が遠くに見つかったので引き返す事にする。
近くにデニーズを発見。
アメリカの、しかもこのカリフォルニア州発祥というデニーズ。
子供の頃は年に1回連れて行ってもらえたかどうか。
外食といったらデニーズ。 お祝いといったらデニーズ。 ご馳走といったらデニーズ。
そんなデニーズが子供はみんな大好きだが、残念ながら現在の日本のデニーズはアメリカとは一切資本提携はない。
今度は駅に向かって歩き出す。
この道程の一歩一歩がとてつもなくしんどい。
昼間と同じ地下鉄に乗り、ここ7th StreetからCivic Centerへと到着。
リトルトーキョーへ向かう前に一旦KAWADA HOTELへ寄って、ダブルベッドの部屋をツインの部屋に換えられないか交渉してみるという。
任せた、頼んだぞ。
結果はMAYFAIR HOTELにも空き部屋は無く、交換は不可との返事。
それならばせめて・・・との思いで頼み込んだのが、エキストラベッドを置く事だった。
それにしてもロスはニューヨーク以上に日本人が多すぎる。
KAWADA HOTELのフロントでは、新婚旅行らしき日本人のカップルが、添乗員から今後のスケジュールの予定を聞かされている。
それにしても男女とも超が付く程ブサイクで、女性の方はブサイクな上に太ってしまって目も当てられない。
しかしその顔はお互いにとても幸せそうな表情をしていたので、しばらく見ていると逆にこっちまで嬉しくなってきたように感じた。
すっかり日も暮れた頃、ようやくリトルトーキョーへと向かって歩き始めた。
↑1枚目はCiviv Center。
2枚目はロスの高層ビルで、ちょうどMAYFAIR HOTELのある7th Streetのあたり。
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