部屋に戻り眠りに付く。
しかし次の停車駅の事が心配で深い眠りに付く事はできない。
その前に地平線から昇る太陽を見なければならない事を思い出した。
4時半くらいに起きて展望車へと向かう。
下段では親父は鼾をかいてのんきに寝てやがる。
深夜の展望車は誰もいない。
1人展望車の椅子をベッド代わりに寝てる奴がいたがどうせコーチの奴らだろう。
朝日の昇る方向の椅子に座り日の出を待つ。
最初は真っ暗だった景色が、しばらくすると地平線がうっすらと白んできた。
そしてさらに待っているとどんどん昇ってくる朝日。
地平線は白からオレンジへと変わり、空の色も黒から紺へと変化していき、やがては紺から水色へと変貌を遂げた。
空が水色になると辺りの景色はすっかりと見え始める。
隣を走っている線路も、少し奥にある山肌の木々も、その向こうにある赤茶けた山も、徐々に肉眼で見えるようになってきた。
そんな景色を写真に撮りつつ、次の停車駅であるパームスプリングスを待つ。
時刻表では5時半に到着と書いてあったが、実際には大幅に遅れる事1時間、6時半にパームスプリングスに到着した。
外に出て一服ついでにいつも通りの撮影に臨む。
しかしここの駅前の景色は目を見張るものがあった。
朝日に照らされた赤い山。
その山はまるで燃えているか、赤いライトに照らされているかの様子。
そしてその麓にはたくさんの風車。
こんな景色は日本では絶対にお目にかかれない。
きっと親父はグースカ寝ているだろう。
外に出てきた乗客はほんの僅かだ。
こんな景色を見れるとはなんてラッキーなのだろう。
ここに停車している時間はほんの5分ほど。
興奮冷めやらぬまま車内へ戻り、そのまま朝食を取りに食堂車へと向かった。
今朝の食堂車ではカナダ人カップルと一緒になった。
その後はノンストップでロスを目指す。
長かった長距離列車のアメリカ大陸横断の旅もいよいよ終わりに近づいてきた。
パンフレットでは停車駅になっているオンタリオ駅を通過。
一服できるかと思っていただけに残念。
予定到着時刻より遅れる事1時間の午前9時半、こうしてSunset Limitedはついに終着駅ロサンゼルスへと到着した。
|