深夜のサンアントニオの街並みを、駅周辺のみだけど一通り観まわる事ができたので、再び列車に戻って出発を待った。
午前5時40分、列車は定刻通りにサンアントニオのSunset Stationを出発した。
外の景色を眺めたい。
闇の中から地平線が朝焼けに染まり、やがては太陽が顔を出して黄金色に染まっていく景色が見たい。
しかしそれは叶わぬ夢。
俺のいる上段のベッドには窓は無い。
下で鼾をかいて寝ている親父の方に窓があるから。
景色は諦めてDSを始める事にした。
もう一度眠ろうか考えたが、1時間近く散歩をしていたので目が醒めきってしまった。
どれくらいDSをやっていただろうか、いつの間にか朝食の時間がきたようだ。
外は既に陽が昇っていて、昇る瞬間のシーンはやはり見る事ができなかった。
食堂車では気品漂う壮年の夫婦との相席。
こういう場合、俺よりも親父の方が仲良くなるのが巧い。
これが本日自分がチョイスした朝食。
このオムレツとパンは最高に美味かった。
ベーコンは固い。 が不味くはない。
部屋に戻りパブロンを飲む。
体温計は持っていないが明らかに熱がある。
この長距離移動中に熱が出るのは、手持ちの薬で何とかするしかないので本当に辛い。
DSをやって時間を過ごしていたが、いつの間にか眠ってしまったようだ。
これは風薬の効果なのか、それともただの寝不足からだろうか。
そしてあっという間に昼食の時間となった。
腹なんか全く減っていない。 が食欲はあるようだ。
唾を飲み込む度に扁桃腺が痛むので、この状態だと食事をするのが厳しそう。
昼食は1000kcalはありそうなハンバーガー。
しかしマクドナルドとは違い、見た目からして美味そうに見える。
扁桃腺の激痛がありながらも、この大ボリュームのハンバーガーを綺麗に平らげた。
ここからは試しにパブロンではなくベンザブロックを飲んでみる事にした。
「早めのパブロン」というくらいだから、もう既にパブロンでは遅すぎて効果がないのかもしれない。
ベンザブロックは解熱作用もあるので、これが功を奏すればかなり楽になるだろう。
ベンザブロックを飲んで仮眠をしていると、停まる予定ではなさそうな小さな駅に停車した。
これはチャーンス!!
大人しく寝ていればよかったのだが、一服をしに表へ出てしまった。
そこは何も無い、本当に何も無い小さな駅。
周りは荒野で、こういう場所に住んでいる人は、一体どこに買い物に行くんだろうと心配してしまうほどの駅周辺。
その名はAlpine。
それにしてもヒューストンから一晩中走ったというのにまだテキサス州。 広すぎ。
1枚目に写ってるおっさんは乗客の知らないおっさん。
2枚目は駅前のメインストリート。 寂しすぎる。
小さい駅なのでホームの有効長がかなり短く、余裕でホームを飛び出し停車しているのにも関わらず、車体が踏み切りを越えて遥か後方にまで伸びている。
おかげで遮断機は降りっ放しで、列車の停車中は踏切が上がる事が無く通行ができなくなっている。
しかし心配は無用。
こんなド田舎では車はほとんど通らないから渋滞なんてしない。
ホームは綺麗だが、列車の後方には荒野が広がる。
この田舎な駅周辺を散策したかったのだが、残念ながらここには10分程度しか停車していなかった。
列車は再び何も無い荒野を走り出す。
ベンザブロックが効いてきたのか、少し具合が良くなったような気がしたので、展望車へ行ってみる事にした。
展望車は食堂車の先なので、我々の部屋からは結構離れている。
これは素晴らしい!!
車内には明るい日差しが差し込んでいて、人はゆったりとした椅子に腰掛け、外の流れる景色を眺めている。
かなり素晴らしい環境なので、ここで昨日からの分の日記を書き始める事にした。
外の景色は相変わらずの荒野。
こんな所に放り出されたら・・・なんて事を考えながら日記を書く。
車内からは英語に混じってスペイン語もかなり聞こえてくるようになった。
それもそのはず、このSunset Limitedはアメリカ南部を横断しているからだ。
昨夜のサンアントニオなんてもろにスペイン語圏の名前だし、次の停車駅のエル・パソもどうみてもスペイン語だ。
おまけにエル・パソはメキシコとの国境に接している。
写真の親子ともヒスパニックだ。
子供は可愛いのだが、チョロチョロ動いてしまうので綺麗に撮れない。
日記を適当に切り上げ部屋に戻る事にした。
外の景色は延々と同じ風景が続くので些か退屈だ。
そう思っていると、国境の街エル・パソに到着した。
エル・パソの駅舎が写っている。
中には入ってないが綺麗な駅舎だ。
↑の写真に写っている高架道路の向こう側にはヤードがあり、その隣にはリオ・グランデ川が流れている。
リオ・グランデ川の向こうはメキシコ。
写真に写っている山や麓の街はメキシコ内だ。
街並みを見ても分かるとおり、エル・パソは鉱物資源で栄えた街。
赤茶けた山と大地が剥き出しになっている上に降水量がとても少ない為、ものすごく乾燥した土地だ。
あまりにも乾燥しているので、湿潤な気候になれた我々日本人は鼻の中がヒリヒリ痛い。
親父にいたっては、鼻をかんだら鼻血まで出てきていた。
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