古めかしい客船のデッキの上で、湾の潮風に当たりながらボーっとする。
世界遺産の景色を眺めたり、客の人間観察をしたり。
お。日本人カップルの女の方が、ロシア人の男に手を引かれて歩いているぞ。
そしてその後ろにトボトボ歩く彼氏の姿。
なんとも惨めwwwwwwwwwww
あの姿は1人で来ている俺よりも惨めだwww
あ~ウケた。
周りを見回すと音楽を聴いている者、本を読んでいる者、お喋りをしている者、昼寝をしている者、写真を撮っている者。
みんな思い思いの姿勢で次なる目的地を待っている。
出発から20分くらいだろうか。 船は湾のどこかの桟橋に接岸し、到着したとの報告を受けた。
ガイドが何か言っている。
「この先の階段を上ると鍾乳洞があります。 1時間後にここに戻ってきて下さい。」 とでも言っているのだろうか。
説明が聞き取れなかったので、皆が動くのを見計らって後に付いていこうと思った。
と、ここでも声を掛けてきてくれたタイ人3人組。
1人で行くよりも何倍も楽しいし、彼女らは英語に長けているのでさっきの説明も理解したであろうから、安心して一緒に行動できる。
岩山に作られた階段を一段一段登って行く。
上に登るにつれ景色はよくなるが、これが中々急な階段。
数十段登ったところで早速心臓の鼓動が早くなってきた。
ただでさえ最後尾で出発したのに、休憩がてらに写真を撮りながら登っているので、集団からはどんどん離されていく。
それでも皆で喋りながら楽しく登っているので、疲れは感じなかった。
何百段とある石段を登りきると鍾乳洞の入り口へ到着した。
しかし、実際にここら辺の事は日記では端折られていて、既に1年も前の事なのでほとんど思い出せない。
鍾乳洞の中はひんやりと涼しかった。
まず入ってびっくりしたのが、ライトアップされた洞窟の内部。
そしてその光は幻想的というより下品という言葉がピッタリな気がした。
赤、青、紫、黄、緑・・・いたる所で鍾乳石を照らしている。
ではその下品な色合いをごらんあれ。
確かにすごい。
何千年、何万年とかかって作られた大小様々な大きさと形の鍾乳石。
それは人間の手で作られたものではなく、自然が作り上げた悠久の結晶。
さすがにこの規模の鍾乳石を目の当たりにすると、感嘆の声が漏れてしまう。
しかし!! この色合いはないだろう。
下品すぎる。 いかにも貧乏人が好きそうな照らしっぷりで、全てが台無しで興醒めしてしまう。
だが・・・これは鍾乳石に直接色を塗ってないだけマシか・・・?
なるべく自然そのままに活かされた通路や階段を登ったり下ったり。
鍾乳石も上から連なっているものもあれば下から積み上がったような感じのものもあり、その全てが斬新で美しい。
洞窟内部でただ1箇所、自然の光が差していた所。
ライトアップより、この光こそ幻想的で美しく感じた。
そして2枚目の写真には、湧き出た地下水が溜まっていた場所。
そこには様々なコインが投げ入れられていた。
ベトナムには硬貨はないので、おそらくは外国人旅行者が自国の硬貨を投げたものだと思われる。
洞窟を抜けると再び登山道の階段登りだ。
洞窟内部でもかなり登っていたのだが、頂上への道のりはまだまだ遠い。
ペースを落としてゆっくりと確実に階段を登って行くと・・・やっと辿り着いた頂上に!
特に何があるわけでもなく、見晴台のようになっていて土産物屋と売店があるだけだった。
そのすぐ近くに遺跡らしき洞窟もあったのだが、そこには寄らずに下る事にした。
途中、タイ人ohmの靴が壊れ、歩くと足の指先が出てしまう仕様になっていた。(下の写真の紫の靴。)
oilが度々何かを嗅いでいる。
「それは何?」と聞くと、「これはタイの匂いで、嗅いでいるととても落ち着くんだよ。」と言った。
試しに俺も嗅がせてもらったが、まぁ・・・なんとも言えない匂いがした。
例えが難しいが、カレーとパクチーと線香を混ぜたような香り。
異文化って面白いな・・・と改めて感じた。
こうして1時間弱かけて登ったり降りたりを繰り返し、鍾乳洞散策を終えた。
スタート地点の桟橋に戻ってきたが、我々は一番最後だった。
そして本日のハロン湾ツアーの全工程が終了した。 |