ホテルへ戻ろうとホアンキエム湖の東側を歩いていると、午前中に西側部分から見えた湖の中に浮かぶ小島と架け橋を発見した。
これはついでに立ち寄っておくべきと考え、寄り道する事にした。
まずはQuyết tử cho Tổ quốc quyết sinhの像がお出迎え。
はっきり言って何の像かは知らないが、何かの功績を残した人達なのだろう。
湖の周りは遊歩道になっていると書いたが、それに沿うように木々も植えられてベンチもある。
そしてその木には、よーく見ると提灯がぶら下がっている。
今は明るい昼間なので味気ないものだが、ひょっとして暗くなったらこの提灯に灯が点ったりするのではないだろうか!?
そう考えたら一気にテンションが上がって、これは夜も確認しに来なければ!! という気になった。
湖の小島に掛かる橋はフク橋というらしく、その手前は何重かの立派な石門があった。
このホアンキエム湖はハノイでの主要な観光名所なので、観光客も大勢来ていた。
ベトナムは漢字文化圏だとWikipediaにも書いてあったが、ここで改めて感じた。
基本的にベトナム語はクオック・グーというアルファベットに補助記号を用いたものを使用しているが、ホーチミンから入って旅をしてきても、ベトナムで漢字文化圏の様相はほとんど感じられなかった。
ホイアンなどの景観は日本統治時代の名残があり、世界遺産にも登録されているので少しは漢字文化圏の様相があるのかもしれないが、どちらかというと都市部では教会やコロニアル調の建造物の方が目を引いていた。
ちなみに漢字文化圏は以下の6カ国。(台湾、中国、南北朝鮮、ベトナム、日本)
ちなみに同じモンゴロイドのモンゴルも漢字文化圏に入るかと思ったが、そちらは含まれない。
現在はキリル文字が用いられるのでロシア語圏の方が強いようだ。
さて、ホアンキエム湖に浮かぶ小島を結ぶ橋は赤いのでとても目立ち、且つ緑色の湖面にとても映える。
しかしそこはやはりというべきか、あの橋には通行料が必要だとどこかのサイトで見た気がした。
通行料なんて微々たる額だろうけど、外人には吹っかけてくる可能性が高い。
しかし行ける所まで行ってみようと思い、写真を撮りながら門をくぐり橋に近づいて行った。
しかし実際には橋を渡る際に通行料がかかる事はなく、橋の手前に従業員の詰め所みたいな小屋はあったが、中には誰もいなく素通りできた。
他の多くの観光客もそのまま素通りしてるので、自分もそれに倣う。
実際に間近に来ると橋はますます鮮やかに感じ、ベトナムというよりは日本や中国にいる感覚になった。
橋の上からは障害無く湖が見渡せる。
ここで分かった。
橋で通行料が発生するのではなく、その先にある小島に入る為に、島の入り口で入場料が発生するようだ。
橋を渡りきった所に係員が居て机が置いてあった。
島には祠が祀られているようだが、ここまで堪能できればもう充分なので、島には入らずに宿へと戻る事にした。
湖の北側の通りを渡ると、そこはもうホアンキエムのダウンタウン。
今朝と変わらず狭い路地に多くの車とバイクと人。
そして様々な音が入り混じって、かなりカオスな空間になっている。
これでこそアジアだ。
そういえば宿から湖に向かっている朝、適当に歩いていたので路地をいくつ通り過ぎただとか、どこで曲がっただとかを一切覚えてこなかった。
なので宿のあるそれっぽい方角を目指して歩き続けたが、一向にCLASSIC2 HOTELが見つからない。
どの路地も似たような感じで、自分が今どこに居るのかすら分からなくなる。
新しい通りを通っているかと思えば、そういえば10分前も同じ所を歩いてたわ・・・というように完全に迷ってしまった。
何度かバイクタクシーの客引きに声を掛けられたが、冗談じゃない。
ぼったくられるよりは疲れるほうがマシだ。
90分程同じ場所をグルグル周っていると、今まで通った事の無い道を歩いていたらしく、パン屋のいい匂いが鼻を刺激した。
きっともうすぐ宿へ着くはずだから、パンでも買っておこう。
パン屋といってもイートインのスペースがあるような洒落たパン屋ではなく、商店のようにショーケースにパンが置かれているような店。
しかし店員は若くて可愛い娘ばかりだったのを覚えている。
パンを購入した後、再び歩き続けた。
しばらくすると雨が降ってきた。
一旦ホアンキエム湖へ戻るか・・・いや、もうホアンキエム湖の位置さえ分からない。
最初はずーっと同じところの周囲を歩いていたのに、いつの間にかそこから外れてしまったようだ。
しかしまた30分以上歩き続けたところで、見覚えのあるグルグル通りに戻った。
雨もほぼ止んできた。
ホアンキエムダウンタウン(仮称)はそんなに広くなく、南側はホアンキエム湖、北側と東側は大きな幹線道路と接しているようで、ダウンタウンの終点がすぐに分かるようになっている。
と、歩きながら学んだ。
そういえば昨夜は深夜の到着の為、宿の外観や周囲の様子などほとんど分からないまま宿泊し、朝も確認を怠っていたので、本当は既に何度か宿の前を通り過ぎているかもしれない。
そしてまたバイクタクシーのおっさんと目が合う。
この2時間で確かこのおっさんは3回くらい見たぞ。
俺も覚えてるくらいだからおっさんも覚えていたようで、今回は近くまで寄って話しかけてきた。
これはチャンスだと思い、バイクに乗りはしないが宿までの道順を教えてもらおうと思った。
宿にあったホアンキエム湖周辺の地図を見せて「今俺が居るのはどの辺だ?」と尋ねる。
おっさんはしばらく考え、今はこの辺でCLASSIC2 HOTELはこの辺だと教えてくれた。
歩くとだいたい10分前後か・・・。迷わなければ。
おっさんは「20000ドンでいいよ。」と言ってきた。
何!? 20000ドンだと!? それなら乗るさ!!
しかし手元の紙幣は一番小額で50000ドンしかなかったので、こいつは「釣銭が無い」とか言い出すんじゃないだろうかと躊躇していると、「ちゃんと両替するよ。」と言ってきた。
こうしてバイクで5分ほど走るとCLASSIC2 HOTELの前へと到着。
ここを歩いたかどうだかもさっぱり分からず、多分徒歩では夜になっても着かなかっただろうと思った。
宿の前の商店でジュースと水を1本ずつ購入。
目の前にシンカフェがあるが、ホテルのフロントではシンカフェのツアーの斡旋もやっているので、明日のハロン湾のツアーを予約した。
フロントには、昨夜は怪しかった東南アジア顔の男が座っていた。
部屋に戻ってさっき買ったパンを食べながら日記をつけ始める。
それにしても今日一日で、一ヶ月分くらい歩いた・・・。
|