人の声がして目が覚めた。
今何時だろうか・・・身体の節々が痛い。
瞼を開けると、地元の人達が朝の漁の準備を始めていた。
時計を見ると5時半前・・・この時間に起きるのは早すぎる。
俺はもっと寝ていたい。 が、地元の人だけでなく、漁の写真を撮ろうとしている観光客もいたので、これ以上ここで寝るのはみっともないので渋々起きる事にした。
起きたといっても、しばらくはその場に座ってボーっと過ごす。
バスの時間まではまだ7時間半もあり、早朝で過ごし易いこの場所もあと数時間もしたら暑くていられなくなるだろう。
とりあえず自分も地元民の漁の姿を写真に収める。
あぁ・・・きっとこいつらにガン見されていたに違いない。
地元の人間に見られるならまだしも、同じ観光客に見られるのは恥ずかしい。
特に何をしたわけでもなく、ひたすらボーっとしながら、結局は目が覚めてから2時間もこの場所に座っていた。
漁を眺めるのも飽きてきたのでシンカフェ横のベンチへ移動。 そして仮眠。
どこでも寝れる体質で助かった。
物音で目が覚めて時計を見ると8時半。
10時くらいまでは寝たかったが、人も増えてきたので移動する事にした。
なんだか昨日からの俺はまるで浮浪者のようだ。
昨日昼飯を食った店で朝食を取る事にした。
卵のフライドライスと7UPを注文。 朝からビールを飲みたい気持ちはあったがグッと堪えた。
飯を食い、日記を書きながらひたすら時間が過ぎるのを待つ。
2時間この店で粘ったが、これ以上日記も先に進めないので、店を出てまたまたシンカフェの隣のベンチに移動。
時刻は10時半。 あと2時間半の辛抱だ・・・。
やっと先が見えてきた気がした。
徐々に人が増え始め、気が付くとシンカフェ周辺は旅行者だらけになっていた。
こいつら全員ニャチャンに行くのかと思いウンザリしていると、ほとんどがサイゴン行きのバスに乗っていった。
次から次へサイゴン行きのバスがやってきて、人々を乗せて去っていく。
そしていつまで経ってもニャチャン行きのバスは来ない。
しかし俺のほかにもニャチャンへ行く人間を確認したので、俺もこのままここで待っているべきなのは間違いないのだが、人がどんどん消えて自分の乗るバスが一向に来ないのは不安になってくる。
時刻は13時を過ぎた。
それでもまだニャチャン行きのバスはやって来ない。
シンカフェの周りは俺を含めて数組の旅行者だけになった。
そしてここで携帯の電池残量が1になる。
今回は時計は携帯しかない為、こいつの電池が切れると時間すら分からなくなる。
こんな野外にコンセントなんて無いし、乾電池の充電器すら持ってきてない。
緊急時の為に電源は切っておく事にした。
シンカフェ内の時計を確認。 13時から遅れる事30分、13時半にニャチャン行きのバスがやって来た。
乗客は15人ほど。
シートは寝台ではなく普通の座席のバスだった。
これでやっとムイネを離れられる・・・全く無駄な2日間だったが、いい思い出になった。
さぁ遅れた分を取り返さなくては!
猛スピードで突っ走ってちょうだいな!!
バスは走り出し、あっという間にムイネの街を後にした。
音楽を聴きながらひたすら車窓を眺めるこの時間、なんて待ち遠しい時間だっただろう。
途中で1回だけトイレ休憩があったが、バスはどんどん走り続けた。
ニャチャンも海沿いのリゾート地なので、バスも海沿いの幹線道路をひたすら走る。
そして陽もすっかり暮れた18時半過ぎにニャチャンのシンカフェ前へ到着した。
観光の時間など一切無く、このまますぐにバスを乗換え。
ムイネの出発が1時間近く遅れたので乗換えに間に合わないんじゃないかとヒヤヒヤしたが、なんとかギリギリ間に合ったようだ。
シンカフェ裏のバスターミナルへ向かい、ホイアン行きのバスに乗り換える。
今度はかなりの長距離で夜間を走るので寝台バスだった。
俺の座席は14番。 そしてここで問題が発生した。
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