カブはスムーズに交通の流れに乗る。 さすが現地人だけの事はある。
あー・・・メチャ楽だし、風が気持ちいい・・・。
出会った場所からカブで走る事約10分、戦争博物館へ到着した。
あそこの窓口で入場チケット(いくらか忘れた)を買いなさい。
と言ってチューは木陰にバイクを止めた。
入場料はいくらか忘れたけど、確か2万ドンくらい。
しかしチケットを買ってもどこにも提示するところは無く、買わなくても余裕で入れる様子だった。
まず最初に目に入ったのが戦闘機やヘリコプター。
実物かレプリカか分からないけど、1/1の原寸サイズで展示されていた。
チューが写真を撮ってくれる。
機体だけ収めるつもりだったのに・・・まぁこれもガイドの仕事だからしょうがないかw
そしてここからは1人行動。 チューは外で待ってるという。
次に向かったのはCHUỒNG CỌPと書いてある、おそらく捕虜の収容所。(の再現したもの)
中には牢屋や処刑台(ギロチン)があった。
そして隅には不発弾が大量に投棄されている。 もちろん火薬や信管は抜かれている。
ところで日記には、この日の事はチューに対する不信感や愚痴しか書いてないので、戦争博物館の件は思い出しながら書くしかなくて辛い。
そしてこの戦争博物館、今のところは特に面白くない。
そして建物の中へと突入。 大きさは4階建てくらい。
ここでチケットを提示するのかと思いきや、全くそんな箇所はない。
中へ入るとまず大きなホールになっている。 冷房が効いていて生き返った。
各階に何があったかは忘れたが、ここはとても印象に残った場所だった。
写真が展示されそれに解説が書かれているのだが、かなりキツイ内容のものばかり。
そしてその写真もモザイク無し、CG無しのかなりグロイものばかり。
地雷で足が吹き飛んだ直後の人間、炎に包まれながら死んでいく村民、銃口をこめかみに突きつけられてMS5(マジで死んじゃう5秒前)の町民・・・。
ベトナム戦争の映画といったらプラトーンやフォレスト・ガンプが有名だが、これを見たらあんなに綺麗で感動する場面など無い。
そもそもアメリカ視点で作ってる時点で内容は偏っているので、戦争にたいするリアルさは低い。
もちろん軍人の写真もある。
しかしそれはプラトーンのように英雄などいない。
南ベトナム軍や支援勢力の軍人が、国民を殺すシーンが多かった。
そして別のフロアでは武器の展示。
ミリタリーマニアではないが、これもすごく見応えがあった。
そして次の場所、ここが一番精神的にキツいものばかりだった。
ベトナム戦争といえば、有名なのはナパーム弾や枯葉剤。
特にこの枯葉剤は後世にも大きな影響を残している。
生まれてきてしまった数々の奇形。
もう酷いしキモい。 グロ耐性がそれなりにあるので吐いたり目を背けたりはしなかったが、「うっわ~・・・」とか声は余裕で漏れてたと思う。
しかも写真だけでなく、ホルマリン漬けや剥製もあった。
ところで当然の事だが、現地人の客は一切この博物館にいない。
当然見たく無いだろう。 つい35年ほど前の出来事だし。
いるのは外人観光客ばかり。 それも白人が多い。
俺からしたら白人なんてどこの国の人間か見た目では区別は付かないが、おそらくこの客の中にはアメリカ人やオーストラリア人もいるだろう。
いったい奴らはこれを見て何を思うのだろうか。
まぁ今ここに来ている20代30代の子孫が実際この行為を行ったわけではないから、彼ら子孫を非難するのは筋違いだと思う。
上下チョンのようにいつまで経っても侵略がどーのこーのなんて、俺ら子孫に言われても「まだ言ってるのかよ。」くらいにしか思わない。
日本も原爆落とされた事は事実だが今のアメリカ人を嫌いなわけでも無いし、俺の親父なんてアメリカ大好きだ。
ただ歴史を学んで事実を受け止め、同じ過ちを繰り返さなければいいと思う。
学習できる事こそ人間が進化できた証なのだ。
なんて真面目な事を言ったが、朝鮮半島は跡形も無く消え去っていい。
一通り見終えて再度外に出る。
館内が冷房が効いていたおかげで、外はより一層暑く感じた。
そして戦車や大砲を発見。
暑いなーでかいなー と見ていると、1人の初老の障害者がやってきた。
見ると片腕が肘の先くらいから無く、明らかに戦争で負った傷だった。
そいつは英語も喋れず、もちろん日本語も喋れないが、手に持っているパンフレットを見てくれと言ってきた。
あぁ、こいつは物売りだ。 このパンフレットを買ってほしいんだな・・・とすぐに分かった。
その時は純粋に哀れみで買ってやってもいいかなと思った。
「おい、いくらだ? え、5万ドン?」
5万ドンならいいか。 別にほしくもないパンフレットだけど、日本人からしたらタバコも買えない額だがこいつにとっては大金だろう。
「え、50万!?」
ふざけんなよボケナス。 哀れみの目で見てれば調子に乗りやがって。
パンフレットを無理やり返却しその場を後にした。
あー胸クソ悪いぜー。
しかし肘から先の無い手で必死にパンフレットを開こうとしている姿は目に焼き付けられ、その先端の丸くなった部分に触れたときのブヨブヨした感覚がしばらく忘れられなかった。 |