目が覚めると5:11だった。 完全に寝過ごした。
目覚ましは4:00にセットしておいたのだが、昨夜までの疲れが取れずに熟睡していた。
フライト時刻は10:45だから余裕で間に合うのでは? と思うかもしれないが、イスラエルの出国はかなりの曲者で、検査と手続きだけで2時間以上かかるとの事。
さらに混んでいればそれ以上の時間がかかるので、空港には遅くても3時間前には到着していないとダメだと色んなサイトに書いてあった。
本来の計算であれば4:00起床、4:30チェックアウト、早朝なのでタクシーを拾うのに時間がかかったとして5:00にタクシーに乗り込む、5:30にエルサレムのバスターミナル到着、まだ早朝なのでバスの本数が少ないとして6:00にテルアビブ行きのバスが出発、7:00にテルアビブ到着、再度タクシーに乗って7:30に空港到着・・・これで約3時間前に到着する計算をしていた。
急いで身支度をして、フロントにチェックアウトの手続きをしようと降りていく。
早朝なので従業員はいないと思ったが、運良くムスリムの女性と話しこんでいた。
チェックアウトを済ませて気がついた。 部屋に航空チケットのバウチャーを忘れてきてしまった。
急いで部屋に戻ると、さっきまで俺のいた34号室のドアが半開きになっている。
しっかり閉めたはずだが・・・。
不審に思ったが部屋に入りテーブルの上に置き忘れていたバウチャーを取ろうとすると、暗闇の中で先程のムスリムの女が冷蔵庫の中身を漁っている。
「うおっ!」 っと思わず声を出してしまった。
ムスリムの女はこちらに振り向き、目が合った。
なんだあの女は。
1.実は従業員で、俺が冷蔵庫の中身を使ってないか、申告に虚偽はないか確認していた。
2.普通の不審者。
普通に考えるなら1だが、暗闇のムスリムというのは、失礼だが結構不気味で、それ以上追及する気にはなれなかった。
何よりムスリムの女なんかに構っている時間は無い!
ホテルを後にすると、まだ暗闇のエルサレムを早足で歩き出した。
ダマスカス門付近のバスターミナルへ向かうと、早朝だというのに早速タクシーの客引きがやってきた。
正直助かった。 エルサレムのバスターミナルまで45NISだというのも即決の要因だった。
ボッタクリも無く、20分程走ってエルサレムの中央バスターミナルへ到着。
まだ夜は明けてないのに、金属探知ゲートの軍人係員はしっかりと居た。
ゲートを通過し、インフォメーションセンタでテルアビブ行きのバスの詳細を聞くと、あと5分で発車するところだった。
バスに乗り込むとすぐに発車した。
これで寝坊した時間の分は修正できた。
イスラエルの荒野を走る事1時間、テルアビブのバスターミナルに到着した。
夜は既に明けていたが、ターミナル内の店はまだ全部閉まったままだった。
この時点で7:00過ぎ。 しかしターミナル内の建物へ入ってしまった為、ここで大幅な時間ロスをしてしまった。
またしてもデパートのように巨大なバスターミナル。
あまりに巨大すぎて出口が分からなかったのだ。
気付いたら同じ場所を行ったり来たりしている。
人もほとんど居なく店も閉まってるので、尋ねる事もできない。
こうして15分程建物内を彷徨った結果、なんとか脱出に成功。
しかし今度はタクシー乗り場が見つからない。
さらに10分歩いてタクシーの乗り場を発見。
空港まではどれくらいの距離があるのかは分からないが遠くても30分くらいだろう。
空港までの料金は50NISだというと、タクシーの運転手は車を走らせた。
さすが首都だけあって道は綺麗に整備されている。
15分程走ると検問所があった。
係員に「俺は日本に帰るんだよ」と伝えると、それまで無口だったタクシーの運転手は豹変した。
彼はいきなりテンションがあがり、知ってる限りの日本語を喋りだした。
あーーーウゼーー。 こいつ、俺を中国か韓国人だと思ってやがったんだな。
そこから5分走ると空港に到着。
最初50NISだと言ったのに150NIS要求してきやがった。
あーーーウゼーー。
チキショウ、最後までファッキンな国だな。 と思ったが、これで最後ではない。
しかし急いだおかげで、空港へは当初の予定の7:30過ぎに到着できた。
さてここからが長い。
普通なら、まず空港に着いたら自分が乗る飛行機のチェックインカウンターへ並び、荷物を預けて出国手続きをするのだが、この国は違う。
まずは尋問。
どの飛行機の客も全てが同じ列に並び順番に尋問される。
なぜこの国へ来たのか、何日居たのか、イスラエルに友達は居るのか、、、など他にもたくさん。
尋問があるのは聞いていたが、あーーーウゼーー。
しかし尋問してくるのは徴兵中の可愛い女の子。
うっひゃーーー舐め回したいぜ!!
元から英語力に乏しい俺だが、今までは何とか答えてこれたわけだが、どうしても分からなかった英語が、「荷造りは誰がしたか」だった。
この質問だけで15分はやり取りしていた。
兵隊の女の子も愛想を尽かしたらしく、マネージャーらしき上司を呼んできた。
今度は上司が俺に聞いてくる。
その上司は紳士的に優しく俺に聞いてきたが、俺が答えられないで居たら3分もすると諦めてしまた。
「お互い困ったねぇ」とヘラヘラしてると、女の子が日本語訳が書いてあるプレートを持ってきた。
それがあるなら最初から持って来いよ!!
多分そのプレートは、日本人が手書きで書いたものであった。
ようやく無事に全ての尋問を終えると、大型荷物をX線へ通過。
さらにその荷物を今度は係員の前で全てぶちまけて、隅々まで調べ上げられる。
もちろん俺だけじゃなく、全ての客に対して。
1つ1つを全て調べ上げるので、その時間だけでも10~20分はかかる。
これが終わって自分で中身を元に戻すと、やっとトルコ航空のカウンターへ並ぶ事ができた。
既に数組がカウンターに並んでいたので、俺も従って後ろに並ぶ。
すると係員が俺のところに来て、「お前は一番前へ行きなさい。」と言って、強制的に先頭へ割り込みさせられた。
俺の意思じゃないのだが、割り込む側としてもいい気はしない・・・。
おそらく『あいつは英語ができないから時間がかかるだろう』と思われたのだろう。
カウンターで大型荷物を預けてチケットを受け取る。
普通なら次はイミグレだが、ここではそうは行かない。
またまたチェックポイントがあるのだが、それが開くまでにはまだ2時間以上ある。
マックがあったので朝飯を食べる事にした。
おそらくこの国のオリジナルメニューであろう「マックKABABU」というのを注文。
ポテトの種類とか聞いて来たが、よく分からないので適当に返事をしていたら、モスのポテトみたいなのが出てきた。
それてにしてもこのセットで1400円弱・・・恐ろしく高い。
マックKABABUはそれなりに美味しかった。
しかしそれにしても高い。
本来なら空港のこの位置には免税店や飲食店がたくさんあるはずだが、ここにはほとんど店がない。
おまけに喫煙所も見つからない。
仕方がないので、日記を書き始めた。
しばらくすると、私服のセキュリティGメンが来て尋問が始まった。
こいつらの質問パターンは決まっていて、なぜこの国へ来たか、どこへ行ったのかなど。
そして俺の書きかけの日記を見て「何を書いてる?」と言ってきた。
なんでもいいじゃねーか。 日記だよ。
空港に着いてから何度も尋問や検査を通過してきた為、自分の感覚が麻痺してもうすぐ搭乗ゲートだと思っていたが、実はそうではなかった。
続いてのチェックポイントに向かう。
ここでまたウザイほどの超厳重なセキュリティチェックが始まる。
今回は手荷物のチェック。
また中身を全て1つ1つチェックしている。
X線の検査を何回もしている。
奴らが理解できないものは、単品でX線検査を何往復もさせていた。
ちなみに首をかしげていたのが、デジカメのミニ三脚とSONYのmp3ヲークマン。
↓こういう古いタイプ。
このヲークマンはX線のトンネルを4往復していて、その光景はものすごくシュールだった。
係員の女の兵隊(チョイブス)はヒステリックに叫ぶ。
兵隊女:「これは一体何なのっ!!!?」
俺:「Mobile Music playerだよ。」
そういうと、首をかしげた後にもう一度だけ5回目のX線を通過させられた。
やっとの思いで突破。
結局はついさっき数少ない店で買ったお土産のオリーブオイルを没収された。
長い通路を進むと、免税店や飲食店が立ち並ぶ場所へ出た。
なんと・・・こんな所にあったのか。
しかし土産を買う時間は無い。
時計を見ると、搭乗の最終締め切りまで15分を切っていた。
土産も買えず一服もできないまま自分の乗るゲートを探し、飛行機に乗り込む。
もう2度と来る事はないだろう・・・。
ここから先は日記が終わってるので記憶が定かではない。
機内は空いていた。
離陸して機内食を済ますと、2時間足らずでトルコに到着。
一目散に喫煙所へ駆け込んで一服。
その後は次の飛行機までビールを飲みながら日記を書いて時間を過ごした。
成田へは確か早朝に着いたので、いつもの和食屋は閉まっていた。
一服ついでにうどんを食うのが恒例行事になっているのだが・・・。
こうして4泊7日の自由な孤独旅行は、無事に幕を閉じた。 |