Travel

 13.05.05 微笑みの寺

あとがき

今回もまた、帰国してから1年弱が経過して、やっとタイの旅行記を書き終える事ができた。(スマホ版は3年以上経過)
1週間に1話のペースで書いてもこんなに時間はかからないはずなので、毎度の事ながらどれだけ怠けていたかが容易に分かってしまう。
そしてこの日記が始まる前、「タイ日記書くよ!」とメールをしたm_otnやSO摩はまだ見てくれているだろうか。

とりあえず一番最初に書いたように、「自由気ままな気弱な素人の孤独旅」シリーズもこれで一旦終了となる。
2008年の台湾から始まって、足掛け6年で7カ国。
あんなに興味が無かった旅行というジャンルを、これほど好きになるなんてだれが想像できただろうか。
旅行なんて残るのは写真と思い出くらいで、物品が手元に残るわけではない。
それならば家電でも買って手元に残す方がどれだけ有意義か。
今では考えられないが、そう思っていた時期もあったなぁ。

旅行を好きになったきっかけなんてまさに不順で単純。
知らない人は「08.01.14 台湾 エピローグ」を見ていただければ分かるし、知ってる人でももう一度見てみるのもいいと思うよ。
結局その時の彼女との復縁は叶わなかったが、しかし今の嫁と出会うきっかけとなったのも旅行。
いやー、人生どう転ぶか分からないもんだ。

初めて行った台湾は全てが冒険で全てが新鮮。
まるっきり素人なので、成田から難関の連続。
初めての一人旅で自分に課した試練は、バイクをレンタルして太魯閣国家公園を巡る事。
しかしこれはバイク屋が無くてあきらめる事になり、代わりにタクシーをチャーター。
初めての一人旅なのでこれでも充分冒険になった。

次に行ったオーストラリアのメルボルンは、素人っぽさが抜けきれてなかったけど、かなりアクティブに動けた。
ここでは念願のレンタルバイクで、1泊2日往復600kmのツーリングを成し遂げる事ができた。
激しい暴風雨に晒されながらの移動は、まさに死をも予感する自分への試練で、転倒や転倒未遂を体験した時には、「あぁ・・・骨折するかも。」と悟った程。
ホテルも最初の一泊しか決めないで行ったし、思い出せばとても無茶な旅で、今の俺に当時の俺と同じ行動をしろと言われてもかなり躊躇すると思う。
その名の通り、充分すぎる「今年の試練」に当てはまる旅だった。

3回目に行ったフィンランドは、飛行機で初の国内移動をした。
フィンランドでは寒さ以外には試練らしい試練は無かったが、その代わりいくつかのアクシデントが発生した。
ロヴァニエミまで国内線で移動した時荷物が届いてなかったり、mp3ヲークマンをホテルに忘れたり。
でも思い出深い事もたくさんある。 本場のサウナを体験したり、北極圏に入ったり、エアメールを送ったり。

そして俄には信じ難いイスラエル旅行。 よくこんな国チョイスしたなぁと思う。
イスラエル、パレスチナ、もうこの2つの国に入るというだけで充分試練だ。
日本の赤軍が空港で銃を乱射したテルアビブ。 ユダヤ教とイスラム教の聖地エルサレム。 キリスト教の聖地パレスチナのベツレヘム。
そして海抜-400mにある世界一濃い塩分濃度の死海。
さすがにこんな所を一人で来ている邦人なんていないので、とてもやり遂げた感があって素晴らしい試練だった。
(でも一番の試練は出入国のイミグレだった。)

そしてそのわずか3ヵ月後、今度は今までの倍の休暇を取ってのベトナム縦断。
この旅行は本当に忘れられない貴重な体験をたくさんした。
現地で飛び込みのツアー体験、真っ黒ガイドのおっパブぼったくり(でも現地人の家に行ったりベトナムの家庭料理を堪能したりと、プラスな体験もあった。)、日本人バックパッカーとの出会い、別れ、再会、野宿、夜行バスで南北縦断、飛行機チケットの注文ミス、タイ人3人組との出会い・・・などなど。
これだけやっていると、自分でも半分くらいはバックパッカーになった気持ちでいた。
日記では二度と来たくないと書いてあるが、それも今はいい思い出。

番外編のアメリカ東西横断は親父との二人旅。
全ての手配を任せたので思いっきり楽だったが、行程の半分以上は二人とも病に悩まされ続けた。
一番の思い出はやはりニューオーリンズのマルディグラ。
アメリカに行く事はあってもニューオーリンズに行く事なんてあまり聞かないうえに、偶然にもマルディグラと重なったのは本当に幸運。(最初は祭りなんてウンザリと思っていたが、すぐに心変わりした。)
旅のメインの2泊3日アムトラックの旅は、俺が「どうしても」と頼み込んだ結果。
変わり行く景色は日本では見られない風景ばかりで、本当に感動した。

そして今回の「微笑みの寺」。 試練といえば、まずは数日かけて嫁を説得した事。
一番の試練はやはり南北縦断の夜行列車。
アメリカのアムトラックは親父に全てを任せていたので俺は何も苦労してないが、今回は現地でのチケット購入から全て自分の力。
そしてベトナムでは果たせなかった寝台車の旅を無事に果たす事が出来た。
あとは偶然ネットで見て憧れたメークロン市場に行けた事。
ここはバンコクやチェンマイの寺院や水上マーケットとは違い、訪れる日本人も少ないと思うので、目的を果たせた事に大変満足している。
もちろん有名なWat ArunやWat Phoも素晴らしかった。
本当はベトナムで知り合って仲良くなったタイ人と会って食事でもしたかったが、日程の都合上断念した。

タイの分類は未だに「発展途上国」だが、空港や周辺施設、BTSやMRT、サイアムやパタヤなどを見ると、先進国にも引けを取らない。
しかし首都バンコクでも電車で数十分移動すれば、メークロンに向かう時に見たような擾擾たる場所もまだたくさんある。
食事だって豪華なレストランもあるけど、庶民は排気ガスにまみれた屋台が主流だ。
公共交通機関も洗練されたBTSやMRTは数路線しかなく、時間にルーズでディーゼルで保線もされてないような国鉄や、メーターを倒さないタクシー、交渉が前提でぼったくられる可能性が高いトゥクトゥクも至るところで現役だ。

しかしこれらを全て受け入れる事ができたらこんなに楽しい国はない。
タイ人は基本的には親切で優しく、多少不衛生でも食事も美味い。
短距離・長距離のバスは列車以上に整備されていて、時間が許されればどこにでも行く事ができる。
見所だって満載で、パタヤやプーケットのようなリゾート地、バンコクのような先進地、チェンマイやアユタヤなどの古都、山間部ののんびりした農村地帯や、陸上・水上問わず催されている市場など。
寺院にいたっては全国に星の数ほど存在する。

娯楽だって多く、シーメールの店にいくのもいい。 ムエタイを観戦するのもいい。 都市部で買い物をするのもいい。 タイの映画を観るのもいい。
屋台を巡ったり、市場で食べ歩きをしたりと、きっと飽きる事がないだろう。
東南アジア特有の雑多な日常も、1日経てば身体になじみ、2日で心地よくなる。
帰る頃にはその日常と離れる事にきっと誰もが寂しくなり、帰国すると恋しくなる。

本当はあと2~3泊したかった。
そうすればあそこも行ってここも行って、タイの友達とも会って、あれも食べて・・・と考えは尽きない。
しかし一人で行かせてくれただけ感謝。
もうこれで「自由気ままな気弱な素人の孤独旅」シリーズも幕を閉じるけど、旅行に目覚める事ができて本当によかった。

最後に、タイは本当にお勧め。
食事だけならベトナムの方が日本人の口に合うかもしれないけど、旅行のし易さなら全てタイの方が上回っている。
ちなみに緯度的には大して変わらないベトナムのホーチミンとタイのバンコクだが、同じ季節に旅行しても3°低緯度のホーチミンの方が圧倒的に暑かった。

ではまたいつか。

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